実は狼、今のアカウント自体の経歴は素人みたいな日数ですが、5年ほど前からこの浜辺に来ていました。
前に使っていたアカウントは、まだ狼が群れにいたときのものです。
今はもう、そのアカウントは海に流してしまいましたが。
檻から放たれて、群れから離れた狼は、一匹に耐えられなくなって再びこの海にやってきました。
狼はこの優しい音がする海が好きです。だからここで小瓶を拾っては読んでいました。
でも、ふと顔をあげるとあんなに青かった海の色が変わっていました。
優しかった海は時折、知らない顔をするようになりました。
寄り添っていた人間も離れ離れになったり、ここを去ってしまった人間もいました。
彼らは今、元気にしているでしょうか。
また、泣いてはいないでしょうか。
まだ、この世界にいてくれているでしょうか。
ここもまた、あのSNSのように変わってしまうのでしょうか。
まだあの頃を知っている人間がいるなら、せめて忘れないでほしい。
狼はこの海が変わっても、今まで通り愛し続けます。
同じように小瓶を拾って読み続けます。
人生に疲れた人間にみんなが寄り添い合える、宛メであり続けることを願って。