私の幼い頃の思い出には、いつも弟が母親を独占している姿がこびりついている。
父親に「母親はなんだかんだで息子が可愛いもんだ」と言われ、
(私の方が先に生まれたけど、一番可愛いのは弟なのか)と思った。
多分、母親はそんなつもりないんだろうけど。
自分が母親になった今、2人目育児に関する記事を目にする機会がある。
「たまに上の子だけで過ごす時間を作って、たくさん愛情を注いであげてください」
いいなぁ、と思った。
私の時は、そんなことなかった。
多感な中学時代、私は愛されていないという気持ちのピークだった。
更に、思春期ニキビだらけの顔で自己肯定感も低く、面倒な友達に絡まれる日々で家にも学校にも居場所がなかった。
そんな私も今では結婚して、子供を産んだ。
でも、きょうだいを作る気にはなれない。
子供の頃からの思い出、
父方母方の親きょうだいの不仲、
とても子供にきょうだいを作ってあげたいとは思えなかった。
弟なんか、いらなかった。
一人っ子なら、もっと幸せだったのに。
親が悲しむだろうから口には出さないけれど、これからもそうやって思いながら生き続けるんだろう。
孫を可愛がる母を眺めながら。
自分が子供の頃に「もっと私のことも可愛がってほしかった」という悲しみを抱えながら。