あれはまだ寒い冬のこと。
私はクリスマス前に妊娠が発覚した。
胎嚢をみれた時はすごく嬉しかった。
でも、わたしが病気ということもあり、私の親も旦那の親も、猛反対した。
初めてわたしの親と話し合って、拒否された時は一緒に車で泣いたね。
それでも産みたいと説得して産む方向で進めた。
ただ旦那はわたしの親や自分の親に色々言われ、疲弊していた。
つわりも終えた頃、旦那から中絶しようと言われた。
わたしは頷いてしまった。どれだけ旦那が疲弊していたか、わかっていたから。
でもわたしは産みたかった。
何度も中絶する寸前まで言い続けた。
でも、旦那は、「もう決めたことでしょ」で済ませた。
そして11週4日。わたしは中絶をした。
子宮が曲がっていて、何度も薬を飲み、筋肉注射、子宮口を開けられた。
痛かった。惨めだった。
あんなに妊婦が幸せそうにしている病院で、私は毎週診察を受けた。
旦那を責めたかった。わたしの赤ちゃんを返して、となんだ言いたかったことか。
でもそれは言えなかった。
毎日ニコニコしている旦那が恨めしかった。
「生きてるだけで、全ての選択は正解なんだよ」
その言葉を言われるたびに、辛かった。
そしてその1ヶ月後、結婚した。何も幸せだとは思えなかった。
もう中絶をしてもうすぐ4ヶ月になる。
わたしの時は、あの日で止まったまま。
妊活の話が出ているが、だったら産めばよかったと何度も思う。
どんな気持ちで、そんなことを言っているのだろう。
だったら、返してくれ、わたしの赤ちゃんを。
もし、私が、意思表示のできる人間だったら、そう言いたい。
気が弱い、意思表示ができない、自分の意見を言えないから、ああ言うことになったのだ。
近所では赤ちゃんの声が聞こえる。保育園も近い。
ああ、わたしの人生ってなんだったのだろう。
わたしも何度も旦那を恨み、何度も自分を恨む。
ごめんね、赤ちゃん。
