他の人が救ってくれることはないって思ってた。
こんな自分に向き合ってくれる人など現れないと思ってた。
信じられるのは自分ですらなく、実際に存在するもの、または自分の出した結果だけだと思っていた。
でも、救ってくださる人はいた。
無責任に救えるとは言わないでいてくださる人だった。
何年もただただ真摯に話を聞いてくれた。
交際という契約までしてくれたのだった。
ありがたく思った自分は期待に応えようと思った。
せめてあの人のことだけは尊重しようと思った。
せめてあの人の前では優しくいようと思った。
せめてあの人の前では可愛くなろうと思った。
あの人がいたなら、もう何も望まないつもりでいたほど。
四六時中、自分はあの人のことを考えた。
四六時中、自分はあの人が望むことを考えた。
四六時中、自分はあの人に救われるのを望んだ。
でも、ある日あの人はあの人の為の言葉を告げた。
あの人は、あの人の為に一人で頑張ってみたいって。
綺麗事に違いないと思った。
きっと自分は重いお荷物だったのだろう。
以後、自分の方を向いてくれないあの人が憎くて仕方がなくなった。
目障りとすら感じてしまった。
知らない人を評価しているあの人が許せなくなった。
でも、自分には相手を責めるような資格はなかった。
だから自分は一人、
他の人が救ってくれることはないと。
こんな自分に最後まで向き合ってくれる人など現れないと。
信じられるのは自分ですらなく、存在するもの、または自分の出した結果だけだと。
そう思っている。