何もなかった私の心に足跡をつけるだけつけて出ていった貴男。
綺麗な思い出だけ残して私を置いていかないでよ。
ただ一言、ただ『ありがとう。』だけが伝えたくて、涙我慢して言ったあの日。
やっぱり泣きそうになった。
『もう行って、お願いだから振り返らないで、』って何か言おうとした貴男に被せて、貴男の背中を強く押した時、初めて貴男の背中の大きさを知った。
あの時歩いていく貴男は何を思ってたんだろう。
少し震えていたように見えたのは私の見間違い?だったかな。
貴男の後ろ姿を見ながら、私は泣く事しか出来なかった。
最後に見た貴男の後ろ姿が今でも頭から離れない。
記憶は色褪せてくのに何故かそれは色褪せてはくれない。
『時間が経てば何もかも変わるんだよ。』いつかそう言った貴男。
あの日から
いくら年をとっても
いくら街が変わっても
いくら好きなタイプが変わっても
いくら髪型が変わっても
いくら化粧が変わっても
いくら笑い方が変わっても
いくら時間が経っても
変わらないものってあるよ。
私の中に変わらないものはあるんだよ…