干渉的なひとだな、とは思っていた。
間違いだった。そんな生ぬるいものじゃない。これは侵食だ。このままじゃ、私は私ではなくなってしまう。
決めてもらう。代わりに全部やってもらう。それはたしかに楽なのかもしれない。でも、違う。
これじゃ、お人形と変わらない。
彼と私の境界は、土足で入り込まれてしまった日からもう曖昧だ。ゼロ距離の中で、息ができなくなっていく。
「君は俺のもの」、そう言われた。彼は、根底からすべてまちがっている。
どうしてこんなに魅力的な人が私に執着するのか、最近わかった。
彼の本性に耐えきれる人が、多分、いなかったのだろう。そして、私は現在耐え続けてしまっている。
彼は危険だ。私はおとなしくしているから優しくされているが、彼と対立して潰された人間を何人も見た。彼を拒めば、私もああなってしまうのかもしれない。
でも、そろそろ限界だ。感情が爆発する寸前だし、感情が消える寸前でもある。
私の目を見て。声を聞いて。意思を、言葉を、なかったことにしないで。忘れないで。